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 『半島一奇抄』 青空文庫

「三津を長岡へ通じましたのは、ほんの近年のことで、それでも十二三年になりましょうか。――可笑《おかし》な話がございますよ。」
 主人は、パッパッと二つばかり、巻莨《まきたばこ》を深く吸って、
「……この石の桟道が、はじめて掛《かか》りました。……まず、開通式といった日に、ここの村長――唯今《ただいま》でも存命で居ります――年を取ったのが、大勢と、村口に客の歓迎に出ておりました。県知事の一行が、真先《まっさき》に乗込んで見えた……あなた、その馬車――」

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