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 『五大力』 従吾所好

 で、酔つたればものとも思はず、軽さは軽し、空弁当にぶらりと振つて、高足駄で其の路地を出た。が、面を打つて快いで済まされるやうな雨ではないので、通りがかり間近な所、低い軒に、切干大根を紅殻で染めたやうな、くな/\の端緒〈はなを〉を吊下〈ぶらさ〉げた、暗い下駄屋の店を見着けて入つた。
「番傘を一本、古いので構ひません。」
 亭主が其時朦朧として、仕事をして居て、

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