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 『薬草取』 青空文庫

 こういう澄み渡った月に眺めて、その色の赤く輝く花を採って帰りたいと、始《はじめ》てこの人ならばと思って、打明《うちあ》けて言うと、暫《しばら》く黙って瞳《ひとみ》を据《す》えて、私の顔を見ていたが、月夜に色の真《しんく》な花――きっと探しましょうと言って、――可《よ》し、可《よ》し、女の念《おもい》で、と後《あと》を言い足したですね。

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