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『貝の穴に河童の居る事』
青空文庫
姫は、赤地錦の帯脇に、おなじ袋の緒をしめて、守刀《まもりがたな》と見参らせたは、あらず、一管の玉の笛を、すっとぬいて、丹花の唇、斜めに氷柱《つらら》を含んで、涼しく、気高く、歌口を――
木菟《みみずく》が、ぽう、と鳴く。
社の格子が颯《さっ》と開くと、白兎が一羽、太鼓を、抱くようにして、腹をゆすって笑いながら、撥音《ばちおと》を低く、かすめて打った。
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