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 『古狢』 青空文庫

「ああ、縁台が濡れる。」
 と、お町の手を取って、位置を直して、慎重に言った。
「それにね、首……顔がないんです。あの、冷いほど、真白《まっしろ》な、乳も、腰も、手足も残して。……微塵《みじん》に轢《ひ》かれたんでしょう。血の池で、白魚が湧《わ》いたように、お藻代さんの、顔だの、頬だのが。

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