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『木の子説法』 青空文庫
俯向《うつむ》いて、我と我が口にその乳首を含むと、ぎんと白妙《しろたえ》の生命《いのち》を絞った。ことこと、ひちゃひちゃ、骨なし子の血を吸う音が、舞台から響いた。が、子の口と、母の胸は、見る見る紅玉の柘榴《ざくろ》がこぼれた。
颯《さっ》と色が薄く澄むと――横に倒れよう――とする、反らした指に――茸は残らず這込んで消えた――塗笠を拾ったが、
「お客さん――これは人間ではありません。――紅茸《べにたけ》です。」
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