検索結果詳細


 『婦系図』 青空文庫

 聞くがごとくんば、理学士が少なからぬ年俸は、過半菅子のために消費されても、自から求むる処のない夫は、すこしの苦痛も感じないで、そのなすがままに任せる上に、英吉も云った通り、実家《さと》から附属の化粧料があるから、天のなせる麗質に、粉の装《よそおい》をもってして、小遣が自由になる。しかも御衣勝《おんぞがち》の着痩《きやせ》はしたが、玉の膚《はだえ》豊かにして、汗はの露となろう、宜《むべ》なる哉《かな》、楊家《ようか》の女《じょ》、牛込南町における河野家の学問所、桐楊《とうよう》塾の楊の字は、菅子あって、択《えら》ばれたものかも知れぬ。で、某女学院出の才媛である。

 2251/3954 2252/3954 2253/3954


  [Index]