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 『婦系図』 青空文庫

 主税のこの挨拶は、真《まこと》に如才の無いもので。熟々《つくづく》視ればどこにか俤が似通って、晶と陶器《せと》とにしろ、目の大きい処などは、かれこれ同一《そっくり》であるけれども、英吉に似た、と云って嬉しがるような婦人《おんな》はないから、いささかも似ない事にした。その段は大出来だったが、時に衣兜《かくし》から燐寸《マッチ》を出して、鼻の先で吸つけて、ふっと煙を吐いたが早いか、矢のごとく飛んで来たボオイは、小火《ぼや》を見附けたほどの騒ぎ方で、

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