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 『薬草取』 青空文庫

 高坂は、悚然《ぞっ》として思わず手を挙《あ》げ、かつて婦《おんな》が我に為《な》したる如く伏拝《ふしおが》んで粛然《しゅくぜん》とした。
 その不意に立停《たちどま》ったのを、行悩《ゆきなや》んだと思ったらしい、花売《はなうり》は軽《かろ》く見返り、
「貴方《あなた》、もう些《ちっ》とでございますよ。」

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