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『薬草取』
青空文庫
「はい、二俣村《ふたまたむら》でございます。」
「あああの、越中《えっちゅう》の蛎波《となみ》へ通《かよ》う街道で、此処《ここ》に来る道の岐《わか》れる、目まぐるしいほど馬の通る、彼処《あすこ》だね。」
「さようでございます。もう路《みち》が悪うございまして、車が通りませんものですから、炭でも薪《たきぎ》でも、残らず馬に附けて出しますのでございます。
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