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『貝の穴に河童の居る事』
青空文庫
赤沼の三郎は、手をついた――もうこうまいる、姫神様。……
「愛想《あいそ》のなさよ。撫子《なでしこ》も、百合も、あるけれど、活きた花を手折ろうより、この一折持っていきゃ。」
取らしょうと、笛の御手《みて》に持添えて、濃い紫の女扇を、袖すれにこそたまわりけれ。
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