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 『海神別荘』 華・成田屋

侍女一  二人が附添っております、(廻廊を見込む)ああ、もう御廊下まで。(公子のさしずにより、姿見に錦の蔽(おおい)を掛け、闥(とびら)に入る。)
女。先達の女房に、片手、手を曳かれて登場。姿を粛(しずか)に、深く差俯向き、面影やややつれたれども、さまで悪怯(わるび)れざる態度、徐(おもむろ)に廻廊を進みて、床を上段に昇る。昇る時も、裾捌(すそさば)き静なり。

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