検索結果詳細


 『婦系図』 青空文庫

 仰いで、浅間《せんげん》の森の流るるを見、俯《ふ》して、濠《ほり》の水の走るを見た。たちまち一朶《いちだ》紅の雲あり、夢のごとく眼《まなこ》を遮る。合歓《ねむ》の花ぞ、と心着いて、流《ながれ》の音を耳にする時、車はがらりと石橋に乗懸《のりかか》って、黒の大構《おおがまえ》の門に楫《かじ》が下りた。
「ここかい。」とひらりと出る。
「へい、」

 2300/3954 2301/3954 2302/3954


  [Index]