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 『海神別荘』 華・成田屋

美女。先達の女房に、片手、手を曳かれて登場。姿を粛(しずか)に、深く差俯向き、面影やややつれたれども、さまで悪怯(わるび)れざる態度、徐(おもむろ)に廻廊を進みて、床を上段に昇る。昇る時も、裾捌(すそさば)き静なり。
侍女三人、燈籠二個(ふたつ)ずつ二人、一つを一人、五個(いつつ)を提げて附添い出で、一人々々、廻廊の廂に架け、そのまま引返す。燈籠を侍女等の差置き果つるまでに、女房は、美女をその上段、き枝珊瑚の椅子まで導く順にてありたし。女房、謹んで公子に礼して、美女に椅子を教う。

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