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『高野聖』
泉鏡花を読む
すると婦人が、下ぶくれな顔にゑくぼを刻んで、三ツばかりはき/\と続けて頷いた。
少年はうむといつたが、ぐたりとして又臍をくり/\/\。
私は余り気の毒さに顔も上げられないで密つと盗むやうにして見ると、婦人は何事も別に気に懸けては居らぬ様子、其まゝ後へ跟いて出ようとする時、紫陽花の花の蔭からぬいと出た一名の親仁がある。
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