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『義血侠血』
青空文庫
「でも言われるまで憶《おも》い出さないなんざあ、あんまり不実すぎるのねえ」
「いや、不実というわけではないけれど、毎日何十人という客の
顔
を、いちいち覚えていられるものではない」
「それはごもっともさ。そうだけれども、馬上《うま》の合い乗りをするお客は毎日はありますまい」
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