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 『春昼』 泉鏡花を読む

「否、結構ですとも。恋で死ぬ、本望です。此の太平の世に生れて、戦場で討死をする機会がなけりや、おなじ畳の上で死ぬものを、憧れじにが洒落て居ます。
 華族の金満家へ生れて出て、恋煩ひでぬ、此のくらゐ有難い事はありますまい。恋は叶ふ方が可ささうなもんですが、然うすると愛別離苦です。
 唯死ぬほど惚れると云ふのが、金を溜めるより難いんでせう。」

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