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 『婦系図』 青空文庫

 はて心得ぬ、これだけの構《かまえ》に、乳の他はあの女中ばかりであろうか。主人は九州へ旅行中で、夫人が七日ばかりの留守を、彼だけでは覚束ない。第一、多勢の客の出入に、茶の給仕さえ鞠子はあやしい、と早瀬は四辺《あたり》を〓《みまわ》したが――後で知れた――留守中は、実家《さと》の抱《かかえ》車夫が夜宿《とま》りに来て、昼はその女房が来ていたので。昼飯の時に分ったのでは、客へ馳走は、残らず電話で料理屋から取寄せる……もっとも、珍客というのであったかも知れぬ。

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