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 『婦系図』 青空文庫

 二人の児の母親で、その燃立つようなのは、ともすると同一《おなじ》軍人好みになりたがるが、垢抜けのした、意気の壮《さかん》な、色の白いのが着ると、汗ばんだ木瓜《ぼけ》の花のように生暖《なまあたたか》なものではなく、雪の下もみじで凜《りん》とする。
 部屋で、先刻《さっき》これを着た時も、乳を圧えて密《そっ》と袖を潜《くぐ》らすような、男に気を兼ねたものではなかった。露《あらわ》にその長襦袢に水《とき》色の紐をぐるぐると巻いた形《なり》で、牡丹の花から抜出たように縁の姿見の前に立って、

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