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 『薬草取』 青空文庫

 嬉《うれ》しや人里も近いと思う、月が落ちて明方《あけがた》の闇を、向うから、洶々《どやどや》と四、五人連《づれ》、松明《たいまつ》を挙《あ》げて近寄った。人可懐《ひとなつかし》くいそいそ寄ると、いずれも屈竟《くっきょう》な荒漢《あらおのこ》で。
 中《うち》に一人、見た事のあると、思い出した。黒婆《くろばば》が家に馬を繋いだ馬士《まご》で、その馬士、二人の姿を見ると、遁《に》がすなと突然《いきなり》、私を小脇に引抱《ひっかか》える、残った奴が三人四人で、ええ! という娘を手取足取《てとりあしとり》。

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