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 『五大力』 従吾所好

 かと思ふと、真暗に成る。……ト又前途〈ゆくて〉へ其の水あかり。一筋毎に前なのが薄く成つて、果は森か、山か、何か突当りさうに、むら/\と濡曇つて、魔ものの如く虚空を遮る。……時雨に鐘があらば、其の中から聞えよう。
 ゆるく、沈んで、ごろ/\と行くは地車……川向うから遙〈かすか〉に響けば、娑婆を離れて居るのではない。
 物置、五ツ、……二度ばかり、其の水を見て過ぎた時、雨脚が又一時〈ひとしきり〉、ざつと頸筋へ降りかゝつたと思ふと、直き背後で、

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