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 『海神別荘』 華・成田屋

公子  あれは草です。較ぶればここのは大樹だ。椅子の丈は陸(くが)の山よりも高い。そうしている貴女の姿は、夕日影の峰に、雪の消残ったようであろう。少しく離れた私の兜(かぶと)の竜頭(たつがしら)は、城の天守の棟に飾った黄金の鯱ほどに見えようと思う。
女  あの、人の目に、それが、貴方?
公子  譬喩(たとえ)です、人間の目には何も見えん。

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