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 『春昼後刻』 泉鏡花を読む

 と厭な声が、流れ星のやうに、尾を曳いて響くんでございますの。
 私は何んですか、悚然として寝床に足を縮めました。しばらくして、又其の(えゝ、えゝ、)と云ふ変な声が聞えるんです。今度は些と近くなつて。
 それから段々あの橿原の家を向ひ合ひに、飛び/\に、千鳥にかけて一軒一軒、何処でもおなじことを同一ところまで言つて、お銭をねだりますんでございますがね、暖い、ねんばりした雨も、其の門附の足と一緒に、向うへ寄つたり、此方へよつたり、ゆる/\歩行いて来ますやうです。

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