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『国貞えがく』
青空文庫
一足先へ駈出して、見覚えた、古本屋の戸へ附着《くッつ》いたが、店も大戸も閉っていた。寒さは寒し、雨は降ったり、町は寂《しん》として何処にも灯の影は見えぬ。
「もう寝たかの。」
と祖母《としより》がせかせかござって、
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