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『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
爺《じじい》どのは、這うようにして、身体《からだ》を隠して引返したと言いましけ。能う姿が隠さりょう、光った天窓《あたま》と、顱巻《はちまき》の茜色が月夜に消えるか。主ゃ其処で早や、貴女《あなた》の術で、活きながら鋏の紅い月影の蟹に成った、とあとで村の衆にひやかされて、ええ、措《お》けやい、気味の悪い、と目をぱちくり、泡を吹いたでござりますよ。
笑うて遣らっしゃりませ。いけ年を仕《つかまつ》って、貴女《あなた》が、去ね、とおっしゃったを止せば可いことでござります。」
法師は恁くと聞いて眉を顰め、
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