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 『婦系図』 青空文庫

 やがて茶畑を折曲って、小家まばらな、場末の町へ、まだツンとした態度でずんずん入る。
 大巌山の町の上に、小さな溝があるばかり、障子の破《やぶれ》から人も見えないので、その時ずッと寄って、
「ものを云って下さいよ。」

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