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 『龍潭譚』 青空文庫

 立あがりてゆくてを見れば、左右より小枝を組みてあはひも透かで躑躅咲きたり。日影ひとしほ赤うなりまさりたるに、手を見たれば掌に照りそひぬ。
 一文字にかけのぼりて、唯《と》見ればおなじ躑躅のだらだらおりなり。走りおりて走りのぼりつ。いつまでかかくてあらむ、こたびこそと思ふに違ひて、道はまた蜿れる坂なり。踏心地柔かく小石ひとつあらずなりぬ。

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