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 『縁結び』 青空文庫

「やあ、これからまたお出《いで》かい。」
 と腹の底から出るような、奥底のない声をかけて、番傘を横に開いて、出したは見知越《みしりごし》。一昨日《おととい》もちょっとを合わせた、峰《みね》の回向堂の堂守で、耳には数珠《じゅず》をかけていた。仁右衛門《にえもん》といって、いつもおんなじ年の爺《おやじ》である。

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