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 『婦系図』 青空文庫

 襖が開いた、と思うと、羽織なしの引掛帯《ひっかけおび》、結び目が摺《ず》って、横になって、くつろいだ衣紋の、胸から、柔かにふっくりと高い、真《まっしろ》な線を、読みかけた玉章《たまずさ》で斜めに仕切って、衽下《おくみさが》りにその繰伸《くりのば》した手紙の片端を、北斎が描いた蹴出《けだし》のごとく、ぶるぶるとぶら下げながら出た処は、そんじょ芸者《それしゃ》の風がある。

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