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 『国貞えがく』 青空文庫

 絵はもう人に売った、と言った。
 見知越の仁ならば、知らせて欲い、何処へ行って頼みたい、と祖《としより》が言うと、ちょいちょい見懸ける男だが、この土地のものではねえの。越後へ行く飛脚だによって、脚が疾《はや》い。今頃はもう二股を半分越したろう、と小窓に頬杖を支《つ》いて嘲笑った。

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