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 『婦系図』 青空文庫

 そこへ、しばらくして、郵便――だった。
 すらすらと読果てた。手紙を巻戻しながらを振上げると、乱れたままの後れ毛を、煩《うる》さそうに掻上げて、
「ついぞ思出しもしなかった、乳なんか飲まれて、さんざ膏《あぶら》を絞られたわ。」

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