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 『国貞えがく』 青空文庫

 縁《えん》の早い、売口《うれくち》の《い》い別嬪の画であった。主《ぬし》が帰って間もない、店の燈許《あかりもと》へ、あの縮緬着物を散らかして、扱帯《しごき》も、襟も引さらげて見ている処へ、三度笠を横っちょで、てしま茣蓙《ござ》、脚絆穿、草鞋でさっさっと遣って来た、足の高い大男が通りすがりに、じろりと見て、いきなり価《ね》をつけて、ずばりと買って、濡らしちゃならぬと腰づけに、きりりと、上帯《うわおび》を結び添えて、雨の中をすたすたと行方《ゆくえ》知れずよ。……

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