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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「水も汲んで、くくめてお遣り遊ばした。嘉吉の我に返った処で、心得違いをしたために、主人の許へ帰れずば、これを代に言訳して、と結構な御宝を。……
 それがお前様、真緑《まみどり》の、光のある、しい、珠じゃったげにござります。
 爺《じじい》どのが、潜り込んだ草の中から、その蟹の目を密《そっ》と出して、見た時じゃったと申します。

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