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『薬草取』
青空文庫
またその薬を頂かねばならないようになったです。以前はそれがために類少《たぐいすくな》い女を一人、犠《いけにえ》にしたくらいですから、今度は自分がどんな辛苦《しんく》も決して厭《いと》わない。いかにもしてその花が欲しいですが。」
言う中《うち》に胸が迫って、涙を湛《たた》えたためばかりでない。ふと、心付《こころづ》くと消えたように女の姿が見えないのは、草が深くなった所為《せい》であった。
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