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『高野聖』 泉鏡花を読む
(あれ、嬢様ですつて、)と稍調子を高めて、艶麗に笑つた。
(唯、唯今あの爺様が、然やう申しましたやうに存じますが、夫人でございますか。)
(何にしても貴僧には叔母さん位な年紀ですよ。まあ、お早くいらつしやい、草履も可うござんすけれど、刺がさゝりますと不可ません、それにじく/\湿れて居てお気味が悪うございませうから。)と向う向でいひながら衣服の片褄をぐいとあげた。真白なのが暗まぎれ、歩行くと霜が消えて行くやうな。
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