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『五大力』
従吾所好
「失礼ですが、薩張お見外れ申して了つて、」
其の癖、見外れると云ふ姿さへ、目には留まらず、しつとり濡れた気のするばかりで、我が片袖の黒
白
〈あやめ〉も分らぬ。
「然う……」と一寸言を切ると、降り乱れて、冷い風が、二人の間を、さら/\と抜けた。
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