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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 爺《じじい》どのが、潜り込んだ草の中から、その蟹の目を密《そっ》と出して、見た時じゃったと申します。
 こう、貴方がお持ちなさりました指の尖へ、ほんのりと蒼くって、白いお手の透いた処は、大《おおき》な蛍をお撮《つま》みなさりましたようじゃげな。

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