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 『婦系図』 青空文庫

 膝に搦《から》んだ裳《もすそ》が落ちて、蹌踉《よろ》めく袖が、はらりと、茶棚の傍《わき》の襖に当った。肩を引いて、胸を反らして、おっくらしく、身体《からだ》で開けるようにして、次室《つぎ》へ入る。
 板廊下を一つ隔てて、そこに四畳半があるのに、床が敷いてあって、小児が二人背中合せに枕して、真中《まんなか》に透いた処がある。乳が両方を向いて寝かし附けたらしいが、よく寝入っていて、乳は居なかった。

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