検索結果詳細


 『婦系図』 青空文庫

 板廊下を一つ隔てて、そこに四畳半があるのに、床が敷いてあって、小児が二人背中合せに枕して、真中《まんなか》に透いた処がある。乳母が両方を向いて寝かし附けたらしいが、よく寝入っていて、乳母は居なかった。
 トそこを通り越して、見えなくなったきり、襖も閉めないで置きながら、夫人はしばらく経っても来なかった。
 早瀬は灰に突込んだ堆《うずたか》い巻莨《まきたばこ》の吸殻を視《なが》めながら、ああ、喫《の》んだと思い、ああ、饒舌《しゃべ》ったと考える。

 2674/3954 2675/3954 2676/3954


  [Index]