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『薬草取』 青空文庫
百穀苗稼《ひゃくこくびょうが》 甘庶葡萄《かんしょぶどう》 雨之所潤《うししょじゅん》 無不豊足《むふぶそく》
乾地普洽《かんちぶごう》 薬木並茂《やくぼくひょうも》 其雲所出《ごうんしょしゅつ》 一味之水《いちみしすい》
葎《むぐら》の中に日が射して、経巻《きょうかん》に、蒼く月かと思う草の影が映《うつ》ったが、見つつ進む内に、ちらちらと紅《くれない》来《きた》り、黄《き》来《きた》り、紫《むらさき》去《さ》り、白《しろ》過《す》ぎて、蝶《ちょう》の戯《たわむ》るる風情《ふぜい》して、偈《げ》に斑々《はんはん》と印《いん》したのは、はや咲交《さきまじ》る四季の花。
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