検索結果詳細
『歌行燈』
従吾所好
「豪いぞ、金盥まで持ち出いたわ、人間は皆裾が天井へ宙乗りして、畳を皿小鉢が踊るさうな。おゝおゝ、三味線太鼓が鎬〈しのぎ〉を削つて打合ふ様子ぢや。」
「もし、お騒がしう
ござ
りませう、お気の毒で
ござ
ります。丁ど霜月でな、今年度の新兵さんが入營なさりますで、其の送別会ぢや言うて、彼方此方、皆、此の景気で
ござ
ります。でもな、お寝〈よ〉ります時分には時間に成るで静まりませう。何うぞ御辛抱なさいまして。」
267/744
268/744
269/744
[Index]