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 『活人形』 鏡花とアンティークと古書の小径

 折から外《おもて》より戸を叩きて、「もう開けましても差支へございませんか。と医師の尋ぬるに泰助は振返りて、「宜《よろ》しい、おはひんなさい。と答ふれば、戸を排《ひら》きて、医師とともに、見も知らぬ男入り来れり。此男は、扮装《みなり》、風俗、田舎漢《いなかもの》と見えたるが、日向眩ゆき眼色《めつき》にて、上眼づかひにきよろつく様、不良《よから》ぬ輩と思はれたり。

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