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 『婦系図』 青空文庫

 トタンに次の書斎で、するすると帯を解く音がしたので、まだ横にならなかった主税は、掻巻の襟に両肱を支いた。
 乳が何か云ったようだったが、それは聞えないで、派手な夫人の声して、
「ああ、このまま寝ようよ。どうせ台なしなんだから。」

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