検索結果詳細


 『海神別荘』 華・成田屋

公子  可(よし)、その金銀を散らし、施し、棄て、蔵を毀(こぼ)ち、家を焼いて、もとの破蓑(やれみの)一領、網一具の漁民となって、娘の命乞(いのちごい)をすれば可かった。
女  それでも、約束の女を寄越せと、海坊主のような黒い人が、夜ごと夜ごと天井を覗き、屏風を見越し、壁襖(ふすま)に立って、責めわたり、催促をなさいます。今更、家蔵に替えましたッて、とそう思ったのでございます。

 272/369 273/369 274/369


  [Index]