検索結果詳細


 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫

 しばらくすると、薄墨をもう一刷《ひとはけ》した、田《みずた》の際を、おっかな吃驚《びっくり》、といった形で、漁夫《りょうし》らが屈腰《かがみごし》に引返した。手ぶらで、その手つきは、大石投魚を取返しそうな構えでない。鰌《どじょう》が居たら押《おさ》えたそうに見える。丸太ぐるみ、どか落しで遁《に》げた、たった今。……いや、遁げたの候の。……あか褌《ふんどし》にも恥じよかし。

 27/257 28/257 29/257


  [Index]