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 『蛇くひ』 青空文庫

 と唱《とな》へ出《いだ》す節は泣くがごとく、怨むがごとく、いつも(応)の来りて市街を横行するに従うて、件の童謡東西に湧き、南北に和し、言語《ごんご》に断えたる不快嫌悪の情を喚起《よびおこ》して、市人《いちびと》の耳を掩《おほ》はざるなし。
 童謡は(応)が始めて来りし稍《やゝ》以前より、何処より伝へたりとも知らず流行せるものにして、爾来《じらい》父〓兄《ふぼしけい》が誑《だま》しつ、賺《すか》しつ制すれども、頑として少しも肯《き》かざりき。

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