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『薬草取』
青空文庫
「ああ、お可懐《なつかし》い。思うお方《かた》の御病気はきっとそれで治《なお》ります。」
あわれ、高坂が緊乎《しっか》と留《と》めた手は徒《いたずら》に茎を掴《つか》んで、袂《たもと》は空に、
美
女ヶ原は咲満《さきみ》ちたまま、ゆらゆらと前へ出たように覚えて、人の姿は遠くなった。
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