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 『婦系図』 青空文庫


 お蔦は急に起上った身体《からだ》のあがきで、寝床に添った押入の暗い方への向いたを、こなたへ見返すさえ術《じゅつ》なそうであった。
 枕から透く、その細う捩《よ》れた背《せな》へ、小芳が、密《そっ》と手を入れて、上へ抱起すようにして、

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