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『婦系図』
青空文庫
と両方へ身を開いて、お妙を真中《まんなか》にして左右から、珍らしそうに顔を見ると、俯向きながら打微笑み、
「だって私は、ちっともお金子《かね》が無いんですもの。お茶屋へ行って、呼ばなくっては逢えないのじゃ
ありません
か。」
お蔦がハッと吐息《といき》をつくと、小芳はわざと笑いながら、
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