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『日本橋』
青空文庫
「お孝姉さんはあんなでしょう。私は滅多に御座敷はありませんし、あの……」
とお千世は言淀んだが、
「鑑札のお代だって余計なものだのに、電話なんか無駄だからって、それで、譲ってしまったんでしょう。一昨日から、内にはボンボン時計も無いんでしょう。ですから、チンリンと云う音もしないで、寂寞ぽかんとしているんですわ。
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